フェノメナ・マツキヨです。
年末にUIエンジニア向けのセミナーを行いました。
UI設計・デザイン入門者向けです。
今回のセミナーでは製造装置の操作画面開発にたずさわっている受講者が多くおられ、「経験のないオペレーターが簡単に操作できるUIを生産現場から求められている」という課題をお持ちでした。
課題を解決するためには、現行装置の操作性を評価して問題箇所の改善を行うことが必要となります。
しかしながら、評価手法が確立できないため、改善業務が進展しないとのことです。
書籍やインターネットでユーザビリティのことを調べても、ホームページ向けノウハウや概念的な学術的資料ばかりで、何を具体的な指標として「使いやすい」とすれば良いのか判断が難しいのが現状です。
私たちのように、日々操作画面の設計・デザインを行っていても、「いざ評価」となると明確な指標を持てず、経験を基にした主観的な判断を行ってしまいます。
特に製造装置のように特殊な用途の場合、操作の目的がきちんと理解できない場合がほとんどです。
セミナーでは、評価に際して「見た目」と「操作遷移」を区分し、まずは具体的な指針を策定しやすい「見た目」から取り組むべきとアドバイスを行いました。
「見た目」については、以下の項目について指針を策定しておくと最低限のユーザビリティ向上に役立ちます。
・見やすい文字表示
・機能区分に基づく色配分
・一貫した操作要素の見た目
・操作要素の標準サイズと最小サイズ
指針策定に際しては、数種類の表示サンプルをプロトタイプ化し、担当者周辺の人間と実際の生産現場作業者により感性的に判断して基準値を確定させていくことになります。JIS規格はあまり参考になりません。
私たちが設計・デザインを行ったミニマルファブ規格の操作画面でも、長期間の検討によりガイドラインを策定し評価基準書を完成させました。
このガイドラインと評価基準書により、異なる企業が製造する装置の操作画面品質を整えることができています。
操作画面の使いやすさ評価基準の策定には時間と労力が必要です。さらに安定した感性評価が行える要員の育成も行わなくてはなりません。
私たちも少しずつですが、評価に対するナレッジを蓄積し、汎用化できるよう整理を続けています。