フェノメナエンターテインメントの「とし」です。
スマホに限らず様々な製品にはどんな形にしろ取扱説明書やマニュアルがあります。なぜでしょう。 取扱説明書を読まないと使えないことが少なくないからなんでしょうね。
考えてみたら、金づちやハサミ、包丁にはそんなものは付いていません。
スマホからちょっと離れて、家電製品のことをイメージしながら考えてみてください。
これを読んでくださっている方はUIデザインを仕事にしている方で、モノづくりに関わっている方だと考えてお話を進めます。
UIデザインを意識しなくてもモノづくりはできます。
製品を購入するお客様はその製品の持つ基本機能を使いたくて購入するので、使い勝手が悪くても、多少無理をしてでも使わざるを得ません。
さて、購入したその製品が使いにくいものであったら、その後どんなことになるのでしょう。
多分、使わざるを得ない最低限の機能以外は使おうとはしないでしょう。
周囲にいる友人知人にその製品を勧めることもないでしょう。
そして基本機能が壊れなければ、新しい製品に買い替えられることもないと思います。
その結果、その製品の需要拡大は進まず、マーケットが拡大しないので、メーカーは他社との価格競争以外に生き残る道がなくなります。そして、やがてその製品づくりの事業から撤退するという結果になります。これを「負のスパイラル」と言います。
反対に、使いやすくて心地よい操作ができる製品であった場合はどうなるでしょう。
興味を引く機能なら、基本機能以外の機能も使ってみようという気になります。
そして、友人知人に「便利だから、面白い製品だから、買って(使って)みたら?」と勧めます。
新たな機能が加わった新機種が発売されたら真っ先に買ってしまうでしょう。つまり買換えサイクルも早まるのです。その結果、その製品のマーケットが拡大していきます。
新たな付加価値にも関心が高まり、新たなビジネスチャンスが生まれます。マーケットはどんどん拡大し、積極的な製品開発が加速し、さらにマーケットが拡大するという好循環が生まれます。
まさに、今のスマホの市場がそれに当たります。
UIの究極の姿は、取扱説明書が無いことだと思います。
その意味でスマホはかなり完成度が高く(ほとんど誰も取扱説明書やマニュアルなど見ない)、だからマーケットが拡大を続けているのでしょう。
もしあなたの周りで「UIってそんなに大事なことなのか?」と質問してくる人がいたらそんな話をしてみてください。